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CHROとは?役割と仕事内容、人事部長との違いを徹底解説!求められるスキルや年収も

CHRO

近年、ビジネス界で「CHRO(最高人事責任者)」という役職への注目が急速に高まっています。

CHROとは「Chief Human Resource Officer」の略で、単なる人事部門の責任者ではありません。

経営陣の一員としてCEOのビジネスパートナーとなり、経営戦略に基づいた人事戦略を策定・実行する、人事領域のトップです。

本記事を読めば、CHROの具体的な役割や仕事内容、混同されがちな人事部長との違い、求められるスキルからキャリアパス、年収の目安まで、CHROに関する全てを網羅的に理解できます。

株式会社一絲 代表取締役 柴田雄平
監修者
株式会社一絲代表 柴田雄平
▼主な経歴
・年商20億の外食事業責任者、大手広告代理店でのデジタルマーケティング経験、飲食店3店舗の立ち上げ実績。
事業戦略スクール「知足」マインドコミュニティ「自彊」を運営
・著書「会社の成長スピードが加速する! ブースト事業戦略」を出版

>>CXOとは?意味や役職一覧、役割を徹底解説【メリット・違いも網羅】

CHRO役割

CHROは、従来の「守りの人事(労務管理など)」だけでなく、企業の成長を牽引する「攻めの人事」を担います。

その中核となる4つの役割と、重要性が増している背景を解説します。

経営戦略と人事戦略の連携

CHROの最も重要な役割は、企業の経営戦略と人事戦略を完全に連動させることです。

「どのような事業を展開し、市場でどう勝ち抜くか」という経営戦略に対し、「その実現のために、どのような人材が何人必要で、どう育成・配置すべきか」という解を人事の側面から提供し、実行します。

事業計画に基づいた精緻な人員計画の策定は、CHROが担う重要なミッションです。

組織開発と企業文化の醸成

企業の競争力は、従業員一人ひとりのパフォーマンスの総和であり、その土台となるのが「組織文化」です。

CHROは、企業のビジョンやバリュー(価値観)を体現する組織文化を設計し、全社に浸透させる役割を担います。

従業員のエンゲージメント(仕事への熱意や貢献意欲)を高める施策を企画・実行し、イノベーションが生まれやすい風土を醸成します。

人材の獲得・育成・定着

企業の成長は優秀な人材なくしてありえません。

CHROは、短期的な人材補充だけでなく、中長期的な視点で企業の未来を担う人材をどう確保し、育てるかを考えます

  • 次世代リーダーの育成(サクセッションプラン)
  • 優秀な人材を惹きつける採用戦略の構築
  • 従業員のスキルアップとキャリア自律の支援

これらの取り組みを通じて、人材の定着率を高め、企業の競争力を維持・強化します。

人的資本経営の推進

経済産業省が「人材版伊藤レポート」で提言したことからも分かるように、現代の企業価値評価では「人的資本」が非常に重視されています。

CHROは、従業員のスキルや経験、エンゲージメントといった無形の資産を可視化し、投資家やステークホルダーに適切に開示する役割も担います。

人事データを分析・活用し、企業の価値向上に直接貢献することが求められます。

CHROの具体的な仕事内容

CHROの役割は多岐にわたりますが、具体的な仕事内容は以下の通りです。

項目内容
経営会議への参加と人事視点での意見提供取締役会などの重要な意思決定の場で、人事のプロフェッショナルとして「人・組織」の観点から助言や提案を行います。
人事制度(評価・報酬)の設計と運用企業の成長ステージや経営戦略に合わせ、従業員のモチベーションとパフォーマンスを最大化する評価制度や報酬制度を設計・改定します。
採用戦略の策定と実行事業計画から逆算して必要な人材ポートフォリオを定義し、それを実現するための採用ブランディングや選考プロセス全体を指揮します。
組織・人材開発プログラムの企画リーダーシップ開発、階層別研修、eラーニング、キャリア開発支援など、従業員の成長を促すための様々なプログラムを企画・実行します。
労務問題やコンプライアンス体制の監督従業員が心身ともに健康で、安心して働ける職場環境を整備します。労働法規の遵守はもちろん、ハラスメント防止など、コンプライアンス体制の強化も重要な責務です。

CHROと他の役職との違いを比較

CHROの役割をより深く理解するために、混同されがちな「人事部長」や「CEO」との違いを明確にしておきましょう。

CHROと「人事部長」の決定的な違いは「経営視点」

CHROと人事部長の最も大きな違いは、その視座と責任範囲にあります。以下の表にその違いをまとめました。

比較項目CHRO(最高人事責任者)人事部長
視点経営視点(全社最適)管理・運用視点(部門最適)
役割戦略の立案・意思決定実務の統括・実行
責任範囲経営目標達成、企業価値向上人事部門の目標達成、制度運用
時間軸中長期的(3年~10年先を見据える)短中期的(年度計画の達成が中心)
報告先主にCEO主に担当役員(CHROなど)

簡単に言えば、CHROが「人事戦略の策定」という未来を描く役割であるのに対し、人事部長は「策定された戦略や制度を正確に実行・運用する」という現場の司令塔の役割を担います。

CHROと「CEO」との関係性

CHROは、CEO(最高経営責任者)の最も重要なビジネスパートナーの一人です。

CEOが描く会社のビジョンや事業戦略を、「人・組織」の力を使って実現可能な形に落とし込み、実行していく役割を担います。

CEOが戦略の「What(何をやるか)」を決めるとすれば、CHROは「Who(誰が)」「How(どうやって)」の部分を最大化する責任者と言えるでしょう。

CHO、CPOとの違いは?

企業によっては「CHO(Chief Happiness Officer)」や「CPO(Chief People Officer)」という役職が置かれることがあります。

これらは呼称が違うだけで、本質的にはCHROとほぼ同義の役割を指すことがほとんどです。

特に、外資系企業やスタートアップでは、より「従業員(People)」に寄り添う姿勢を示すためにCPOという名称が好まれる傾向があります。

CHROに求められるスキルや能力5選

CHROとして企業を成功に導くためには、人事の専門知識だけでは不十分です。

以下の5つのスキル・能力が不可欠となります。

項目内容
経営に関する深い知識とビジネスへの理解力自社のビジネスモデルや市場環境、財務諸表を深く理解し、経営者と同じ言語で議論できる能力が必須です。
人事全般に関する高度な専門知識と経験採用、人材開発、組織開発、人事制度、労務といった人事領域全般に精通していることは、全ての土台となります。
戦略的思考力とデータ分析能力人事データ(採用コスト、離職率、エンゲージメントスコアなど)を分析して課題を特定し、感覚ではなく事実に基づいて人事戦略を立案・提案する力が求められます。
高いリーダーシップとコミュニケーション能力経営陣を説得し、従業員の共感を得ながら、時には痛みを伴う組織変革をも推進していく強力なリーダーシップと、あらゆる立場の人と円滑な関係を築く対話力が必要です。
労働法規やコンプライアンスに関する知識企業と従業員の双方をリスクから守るため、労働関連法規やコンプライアンスに関する最新かつ正確な知識が不可欠です。

CHROになるには?キャリアパスと年収の目安

CHROという魅力的なポジションに就くには、どのようなキャリアを歩めばよいのでしょうか

CHROになるための一般的なキャリアパス

CHROへの道は一つではありませんが、主に以下の2つのルートが考えられます

項目内容
人事部門で経験を積むルート人事担当者としてキャリアをスタートし、採用、育成、制度企画など様々な業務を経験します。その後、人事マネージャー、人事部長へと昇進し、最終的にCHROに就任する一般的なキャリアパスです。
事業部門やコンサルタントから転身するルート事業部門の責任者として成果を上げた後に経営的視点を買われて人事トップに就任するケースや、経営コンサルタント・組織人事コンサルタントとして多くの企業の人事課題を解決してきた専門家がCHROとして招かれるケースがあります。

CHROの年収相場

CHROの年収は、企業の規模、業種、成長ステージによって大きく異なります。経営に直結する重要なポジションであるため、一般的に高水準です。

あくまで目安ですが、年収レンジとしては1,500万円~数千万円に及ぶことが多く、特にグローバル企業や急成長中のIT企業などでは、ストックオプションを含めると1億円を超えるケースも珍しくありません。

国内外の企業におけるCHRO導入事例

CHROが実際にどのように活躍しているのか、具体的な事例を見てみましょう。

【国内事例】株式会社メルカリ

フリマアプリで知られるメルカリは、早くからCHRO(当時はCPO)を設置し、事業成長を人事戦略で力強く支えてきました

同社のCHROは、バリューの浸透、多様な人材が活躍できるDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の推進、大胆な人事制度改革などを通じて、急成長する組織の基盤を築きました。

【海外事例】マイクロソフト

マイクロソフトは、サティア・ナデラ氏がCEOに就任して以降、「グロースマインドセット(Growth Mindset)」を軸とした大規模な企業文化変革を成し遂げました

この変革を主導したのが同社のCHRO(当時はEVP of Human Resources)です。

評価制度を相対評価から個人の成長に焦点を当てたものに変更するなど、CHROがCEOの強力なパートナーとして企業再生に大きく貢献した代表例と言えます。

CHROに関するよくある質問

最後に、CHROに関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。

CHROになるには、特定の資格が必要ですか?

必須の国家資格などはありません

しかし、MBA(経営学修士)や中小企業診断士、社会保険労務士などの資格は、経営や労務に関する知識の証明となり、キャリアにおいて有利に働く場合があります。

最も重要なのは人事領域全般と経営に関する深い知見と実績です。

中小企業やスタートアップにもCHROは必要ですか?

はい、企業の成長フェーズにおいて非常に重要です。

特に、急成長を目指すスタートアップでは、組織文化の構築や人材獲得が事業の成否を分けます。専任のCHROを置くことで、経営者が事業に集中できるメリットもあります。

日本企業でCHROの設置は進んでいますか?

はい、近年急速に進んでいます

背景には、人的資本経営への注目度の高まりや、グローバル化、労働市場の流動化などがあります。

従来の人事部長がCHROの役割を担うケースや、外部から専門家を招聘するケースが増加しています。

CHROにはどのような人が向いていますか?

「人」と「ビジネス」の両方に強い関心を持てる人です。

論理的な戦略思考と、多様な従業員に寄り添う共感力のバランスが取れた人が向いています。

また、現状維持をよしとせず、企業をより良くするための変革を厭わない推進力も不可欠です。

CHROのまとめ

本記事では、CHROの役割から仕事内容、スキル、キャリアパスまでを網羅的に解説しました

【本記事のポイント】

  • CHROは、経営戦略と人事戦略を連携させる経営陣の一員。
  • 人事部長との違いは「経営視点」の有無と、戦略立案を担う点。
  • CHROには、経営知識、人事の専門性、戦略的思考力、リーダーシップが求められる。
  • 人的資本経営が重視される今、CHROの重要性はますます高まっている。

CHROは、もはや単なる人事のトップではありません。

CEOの右腕として、企業の最も大切な資産である「人」の力を最大限に引き出し、企業の未来を創る重要なパートナーなのです。

この記事が、経営者の方、人事担当者の方、そして未来のCHROを目指すすべてのビジネスパーソンにとって、理解を深める一助となれば幸いです。

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